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ARG(代替現実ゲーム)の作り方 -ストーリー創作術(1)箱書き-
多人数で遊ぶことを前提としたARG(代替現実ゲーム)のストーリーは、多くの共感を得るために元型とも呼ばれる(ベタでお約束的な)物語構造を規範とします。そのため映画や演劇で培われたストーリー創作術や脚本術がそのまま役に立つと僕自身は考えています。
今回はそう言ったものの中から、僕自身が参考にした書籍『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと -シド・フィールドの脚本術-(フィルムアート社刊)』を題材に、僕がARGのストーリーを創作する手順を共有します。
ARG(代替現実ゲーム)にも使える3幕構成
書籍『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと』の特徴は、3幕構成と呼ばれるシナリオの標準的な様式を示したことです。3幕構成とは「2時間の映画脚本(ページ数換算で120ページ)のうち、1ページ〜30ページを第1幕、31ページから90ページを第2幕、91ページから120ページを第3幕とし、各幕間にプロットポイントと呼ぶストーリーの転換点(分岐点)を置いた上で、第1幕で発端(状況設定)、第2幕で中盤(葛藤)、第3幕で結末(解決)を描く」と言うものです。
では、この3幕構成をARGのストーリー創作に当てはめるとどうなるでしょうか?
以下の例は実施期間を1週間と想定したARGの場合です。
3幕構成をARGに適用する際のポイントは、各幕同士の比率(1:2:1)をARGの実施期間に当てはめることです。その上で図中のプロットポイントがストーリー上の転換点(大きなドラマ、プレイヤーの意識決定機会)となることを意識しながら箱書きをしていきます。
ちなみに僕の場合、箱書きは箇条書きレベルでとどめることがほとんどです。
実は、この箱書きの段階でどのようなガジェットやメディアを使うのか、またプレイヤーにどのような接点からアプローチするのかと言うイメージはできあがっています。つまり、箱書きと並行して自分たちが使えるメディアや、自分たちの技術力も検討されているわけです。また、登場人物の設定もストーリーが固まるのに併せて、書き加えられていくことがほとんどです。
この最初に期間全体の構成を考えるというやり方は、長期型ARGでも変わりありません。長期型ARGの場合は、全体構成をひとまず決めた上で、各幕内を細分化し、細分化された区切り内を3幕構成で考えます。ようするに3幕構成の入れ子を作るとお考えください。
最後に
僕がARGを制作するときには、この構成(箱書き)を考えることにもっとも時間をかけます。ARGの運営はテレビで言えば生放送のようなものですから、構成の段階でしっかりとストーリーを組み立てておかないと、のちにアドリブで対応するにせよ、大きくストーリーを転換するにせよ、行く先が見えず、ストーリーとしてのまとまりがつかなくなります。
では「箱書き重要」 ということで、ぜひ知恵を振り絞ってみてください。個人的なご相談は norihiro.sawada.1218[at]gmail.com で受け付けております(笑)
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