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こんなに違う! ARG制作者 vs 謎解きゲーム制作者!
ARG(代替現実ゲーム)のTINAG 対 謎解きゲームのわかりやすさ
先日、Twitter上でARG(代替現実ゲーム)と謎解きゲームの違いを感じる良い機会がありました。そこで今回は一連のやり取りを整理しつつ、ARG制作者と謎解きゲーム制作者の視点の違いを考えてみたいと思います。
そもそも、話の発端は友人の田中宏明さんがつぶやいたひと言から始まりました。
そういえば謎作りのときに必ず守ってるのは、最後の問題に「最後の問題」とちゃんと書くことです。あと案件にもよりますが、一般向けのものは「全部で*問」という表記もなるべく入れるようにしています。
— たなかひろあき (@heelaw) February 24, 2014
田中さんは謎解きゲームだけでなく、ARGも含めた体験型コンテンツの制作に幅広く関わっている方です。ですから彼の意見は的外れなものではなく、むしろ的を射た意見です。しかし、僕はこの意見に違和感を感じたため、このようにつぶやき返しました。
先のRTを全部ひっくり返すとARGになる。つまりARGでは「(物語の展開からの推測以外)どこが最後かなのか明かさない」「全部で何問などという没入感を壊す表現はしない」ことを最初にやろうとする。それぐらい元の思想が違うのです。
— flatline1218 (@flatline1218) February 24, 2014
ようするに僕は、今回の田中さんの発言が謎解きゲームを念頭に置いたものと仮定し、ARGはその正反対のポジションを取ろうとする遊びだよねということを示唆したわけです。それに対して田中さんから次のような返答をいただきました。
@flatline1218 案件の特性とかターゲット的に「無料/制限時間無し/暇つぶし」ものが多いので、はじめに「どれぐらいあなたの時間をいただきますよ」って言っておかないとクレーム食らうのですよね・・・。
— たなかひろあき (@heelaw) February 24, 2014
この意見も興行での実施が前提となる謎解きゲームでは当然の意見です。そして、これら正反対のふたつの意見こそが、ARGと謎解きゲームの狙いの違いを明確に表しています。
ARGの場合は、プレイヤーのいる日常生活そのものを代替世界で侵食するためにゲームであること、時間の制約があることを極限まで隠し、プレイヤーには日常生活の中で遊ぶ時間を見いだしてもらおうとします。
謎解きゲームの場合は、プレイヤーに非日常空間に来てもらうためにゲームであること、時間の制約があることを全面に出すことは当然であり、それが提示されなければプレイヤーは遊ぶ予定を立てることもできません。
非日常体験という単語でも、ひとくくりにされることが多いARGと謎解きゲームですが、ここまでの差異だけでも両者の目指す方向が異なっていることがわかります。当然、ARG的な方法を取るのか、謎解きゲーム的な方法を取るのかで作り方は大きく変わるはずです。
最後に
僕と田中さんのやり取りは、次の僕からの返信を持って終わりとなりました。
@heelaw 先のひろあきさんの発言について、通りすがりの人も参加する『謎解きゲーム』の話としては正しいと思うよ。逆に言えば、誰もが気軽に遊ぶ間口の広いARGなんてのは限りなくあり得なくて、ARGはその特性上、題材への関心が高い人が遊ぶものだと思うのです。
— flatline1218 (@flatline1218) February 24, 2014
プレイヤーの日常生活を代替世界で侵食するためにわかりやすさを犠牲にしたARGと、プレイヤーに非日常世界へ足を運んでもらうためにわかりやすさを重視した謎解きゲーム。両者は共存できないのでしょうか?
そもそも両者の目指す方向が異なるのですから、ARGと謎解きゲームを混ぜて、ひとつのゲームとして実施することは難しいでしょう。
ですがARGと謎解きゲーム、それぞれの方向を活かし、独立したものとして組み合わせることは可能そうです。僕自身がチームだいたいとして制作に関わった『リアル悪の教典ゲーム(2012)』や『MONO×LOGUE(2013)』は、ARGと謎解きゲームを組み合わせようとした試みのひとつです。こちらについても機会を設けて記事にできればと思います。
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