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ARGのマネタイズ | だいたい現実

ARG(代替現実ゲーム)のマネタイズについて

ARG(代替現実ゲーム)のマネタイズについて

 ARG(代替現実ゲーム)のマネタイズ(収益事業化)については、ARGの制作方法以上に公開されたことがありません。つまり明確に提示された収益情報はまずないと考えて良いでしょう。ですので以降のARGのマネタイズに関する見解は、全て僕の経験に基づくものです。そのことをご理解いただいた上で、タイトルの質問に戻ります。


ARG(代替現実ゲーム)は儲かるのでしょうか?

 残念ながら自主制作型のARGでは儲かりません(少なくとも生計を立てられたという事例を僕は知りません)。

 このARGは儲からないという結論について、日本ならば2010年から2012年にかけて現れたARG制作者の何割が現在も制作を続けているのかを追いかけてみれば良いと思います(ARGだけを本業としている人は限りなく少ないはずです)。
 また海外に関しても、WikipediaのARGのページに

However, pay-to-play models are not unheard of.
(しかしながら、お金を払ってARGを遊ぶビジネスモデルについては聞いたことがない)

と書かれていたり、カードゲーム形式での収益化を試みたARG『Perplex City』を販売していたMind Candy社が、同事業を断念してビデオゲーム事業への転換を図っていたりする事実からも、ビジネスモデルが形成されているとは言い難い状況だと考えます。

 一方でプロモーション施策としてのARGであれば、単純な「制作委託費−実際の制作費=利益」という図式で収益を図ることができます。ただしプロモーションARGについては、ARGのバイラルによる拡散効果をKPIとするのか、最終的な商品の増加利用数を(どうにか関連付けて)KPIとするのかと言った効果測定面での合意をいかにクライアントと取り付けるかが事業継続のカギとなります。

 他の収益化方法としては、シリアスARGと呼ばれる現実の社会問題をゲームの構造を利用して議論するARGの制作(米国)や、研修を目的としたARGの制作(日米)が挙げられますが、そのいずれも定着しているとは言い難く、当面は映画やTV番組、ゲーム、音楽のプロモーションARGが、ARGのマネタイズ(収益事業化)の中心にあり続けると考えます。


それでもARG(代替現実ゲーム)の制作者になりたいのですが?

 ARG制作者の立場から現状を見ると、収入を望むのであれば「なんとかしてプロモーションARGを制作している法人団体に、パートタイマーでも良いから参加させてもらうしかない」という、あまりよろしくない状況が続いていると考えます。

 同時にARG制作者として実績を積むには、やはり同じような経緯を経て実力を示し続け、知名度を上げる以外の方法がなく、このことがARG制作者のノウハウが言語化されない遠因でもあるように感じています。

 また、主にグラス(草の根)で実施されるオリジナルのARGについては、制作難易度の高さから生じる内発的動機付けの低下(制作したいけれどできそうにない)や、想像していたよりもプレイヤーが少ない・無料で提供されるコンテンツに対する要求水準が思っていたよりも高いなどから生じる外発的動機付けの不確実さ(制作はしたけれど何も反応がない・ダメ出しを交流しているプレイヤーから直接受ける)ことから、同じ制作者による継続はかなり厳しい状況にあると考えます。


最後に

 このページは厳しい内容ばかりとなりましたが、当ブログ『だいたい現実』運営の目的に「制作手法を明らかにすることで少しでも制作難易度を下げる」「事前に問題を明らかにしておくことで制作者のARGに対する過度な期待を抑える(期待との落差が失望です)」を考えているため、ARGというジャンルにとっては非常にネガティブな見解も隠さずに投稿しています。悪しからずご了承ください。


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