portrait
ARG(代替現実ゲーム) > ARG(代替現実ゲーム)考察 > ARG(代替現実ゲーム)と謎解きゲームはどこが違うのか

© だいたい現実 All rights reserved.

ARG(代替現実ゲーム)と謎解きゲームはどこが違うのか | だいたい現実

ARG(代替現実ゲーム)と謎解きゲームはどこが違うのか

ARG(代替現実ゲーム)と謎解きゲームはどこが違うのか

 日本でARG(代替現実ゲーム)を話題とするときに、引き合いに出されるのが2011年頃から普及し始めたリアル脱出ゲームなどの商標でも知られる「謎解きゲーム」です。

 実際、謎解きゲームの参加者や制作者でARGに興味があると言う方は少なからずいらっしゃいます。またバイラルプロモーションに関するビジネスの場でも、ARGと謎解きゲームは「よくわからないけれど、たぶん同じもの」として扱われる傾向にあります。

 はたして本当にARGと謎解きゲームは「同じもの」なのでしょうか?


謎を解くのが謎解きゲーム、ドラマを楽しむのがARG(代替現実ゲーム)

 謎解きゲームは、その言葉どおり「謎(ここでは主にパズル的なものを指します)を解く」ゲームです。つまり謎さえあれば他の要素はなくても最低限、成立するのが謎解きゲームです。そして謎解きゲームの評価は、提示された謎がどれだけロジカルに構成されていたか(ロジックで導き出された答に納得感があるか)で決まります。
 このためシナリオも、登場人物たちのドラマではなく、小謎と呼ばれる主に最初に提示される謎から中謎、そして最初の小謎や与えられた環境と連携してどんでん返しを仕掛ける大謎への連続性に沿って進展します。
 言うなればシナリオの3幕構成を謎に当てはめたものが謎解きゲームのシナリオであり、ここからも謎の内容や各謎の相関が主、ストーリー性は副であると捉えることができます。

 一方、ARGはあくまでもドラマありきです。つまりプレイヤーを含めた登場人物のドラマ(行為・行動)があれば謎はなくても成立するのがARGと言えます。
 このため登場人物の意志決定に関与する対話や駆け引き、登場人物の過去の行動や記録の発見によってシナリオが進展します。つまりARGのシナリオは現実の時間軸に落とし込まれてはいますが、ストーリー性が主であり、ARGの評価もどれだけ世界に浸れたか(どのような体験ができたか)で決まります。
 ARGが製品との関与を深める(作品世界に深く入り込む)という視点から評価をされる理由は、まさにこのようなストーリー性の高さが背景にあるからです。

 またこの他にも、謎解きゲームは主催者や制作者が中心となって(時には実名を出して)場を作り出しますが、ARGの制作者はあくまでも裏方であり、場を作り出すのは架空の登場人物であることがほとんどです。
 これは現実を侵食することで代替現実感を生じさせようとするのか(ARG)、あくまでも現実でゲームをするのか(謎解きゲーム)と言う両者の設計思想の違いによるものです。

 以下に、そんなARGと謎解きゲームの違いを要素別にまとめてみました。

ARG(代替現実ゲーム)と謎解きゲームの要素比較

arg_nazo


ARG(代替現実ゲーム)と謎解きゲームを見分けるひとつのやり方

 さて、ここまでは主に制作者や各ゲームを導入する立場的な視点から、ARGと謎解きゲームについて考察してきました。一方でプレイヤーからすれば「そんなことをいちいち考えて遊んでいるわけではない」と言うのももっともです。そこでARGと謎解きゲームを見分けるひとつのやり方をご紹介します。

 あなたがARGや謎解きゲームのようなもので遊んだあとに、友だちと「謎の内容や構成について盛り上がった」のであれば、あなたが遊んだものは「謎解きゲームだった」と言えます。あなたが「ストーリーや登場人物との対話、登場人物と過ごした時間や代替世界を思い返す」ようであれば、あなたが遊んだものは「ARGだった」と言えます。

 少々乱暴すぎるかもしれません。ですが、どちらも複数のプレイヤーと交流をしながら楽しむゲームですので、遊んでいた瞬間にどう盛り上がったかではなく、なにが印象に残ったか(そこに制作者の意図もあります)に注目することで、似て異なるふたつのゲームを見分けることができるのではないでしょうか。


最後に

 広義では同じカテゴリに分類されるARGと謎解きゲームは、常に同じベクトル上にあるものとして扱われてきました。しかし僕自身、その扱いに違和感を感じており、その違和感を整理してみたのが今回の考察です。

 もちろん、ただ謎を解くだけのゲームからの進化を試みた謎解きゲームにストーリー要素が取り込まれ始めていたり、短期型のARGとしてより謎解き要素だけを強めたARGが制作されたりしていますので、ドラマ性を分岐点とした今回の違いもゆるやかな境界線上にあるものだと思います。

 とは言え、やはり筋の通った謎を解くと言う構成から脱出できないのが謎解きゲームであり、登場人物によるドラマを捨てきれないのがARGであると言う考えが大きく崩れることはないでしょう。


 このページが参考になったなら、ARGを広めるためにも共有をお願いします!

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

[DT] 3年目の3.11 体験型エンタテインメントのできること

20143/11

3年目の3.11 体験型エンタテインメントのできること

宮城県亘理郡山元町をご存じですか?  昨年(2013年)ご縁あって、宮城県亘理郡山元町で2回ほど謎解きイベントをチームだいたい名義で実施し…

[DT] こんなに違う! ARG制作者 vs 謎解きゲーム制作者!

こんなに違う! ARG制作者 vs 謎解きゲーム制作者!

ARG(代替現実ゲーム)のTINAG 対 謎解きゲームのわかりやすさ  先日、Twitter上でARG(代替現実ゲーム)と謎解きゲームの違…

[DT] ARG(代替現実ゲーム)関連書籍 | This Is Not A Game

ARG(代替現実ゲーム)関連書籍 | This Is Not A Game -第2回-

注)この記事はARGの研究書籍『This Is Not A Game(2005)』をご紹介する第2回目の記事です。未読の方は第1回目の記事か…

[DT] ARG(代替現実ゲーム)関連書籍 | This Is Not A Game

ARG(代替現実ゲーム)関連書籍 | This Is Not A Game -第1回-

 書籍『This Is Not A Game -A Guide to Alternate Reality Gaming-』は、2005年に北…

[DT] ARG(代替現実ゲーム)の作り方 -ストーリー創作術(3)-

ARG(代替現実ゲーム)の作り方 -ストーリー創作術(3) 分岐-

 ARG(代替現実ゲーム)のストーリー創作術。過去の2回では、箱書き(第1回)からストーリーの断片化(第2回)へと創作を進めることで、プレイ…

ページ上部へ戻る