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長期型ARGを定義する3つのポイント | だいたい現実

長期型ARG(代替現実ゲーム)を定義する3つのポイント

長期型ARG(代替現実ゲーム)を定義する3つのポイント

 ARG(代替現実ゲーム)の定義については多くの意見がありますが、このブログでは下記の3つのポイントを実施期間約3ヶ月〜1年の長期型ARGの成立要件としました。

 なお、定義を考察する際には「プレイヤーの主観的な感覚(感情)を軸とする考え方」と「プレイヤーの主観的な感覚(感情)とは関係なく、ARGが持つ構造を軸とする考え方」の2つがあると考えますが、今回は後者のARGが持つ構造を軸に定義を考察しました。

長期型ARG(Alternate-Reality-Game / 代替現実ゲーム)の定義

  1. 長期型ARGではプレイヤーの意志決定によってストーリーの結末、展開が変化する
  2. 長期型ARGではプレイヤーを取り巻く様々な接点から断片的な情報が投げかけられる
  3. 長期型ARGでは共有ルールの元でプレイヤーに自分で考える機会が与えられている

 これだけの成立要件で長期型ARGを定義したことについて、大雑把に感じられた方もいるかもしれません。ですので次項では、それぞれの要件について補足をしていきます。


長期型ARG(Alternate-Reality-Game / 代替現実ゲーム)の定義を分解する

1. 長期型ARGではプレイヤーの意志決定によってストーリーの結末、展開が変化する

 この要件は長期型ARGと短期型ARGを区分する重要なポイントです。つまり長期型ARGでは、ストーリーがあるだけではなく、プレイヤーの意志決定によって、そのストーリーの展開や結末が変化するからこそ、自分がストーリーを動かしていると感じられ、代替現実感が増すのです。

 このため長期型ARGの構成やシナリオでは、ストーリー上の重厚さや緻密さよりも、常にプレイヤーに複数の選択肢を与えられるパラレル構造になっているかが重要となります。同時に常にストーリーラインが変化する可能性があるため、長期型ARGの場合、詳細なシナリオを事前に準備することが難しくなります。

 なお、長期型ARG以外の体験型コンテンツの多くは、ストーリー上の意志決定をプレイヤーに委ねることはありません(体験型コンテンツの多くはどんな方法で答を出すかは委ねますが、ストーリー展開が変化することはありません)。つまりストーリーの展開が多面的に変化するかどうかが長期型ARGと他の体験型コンテンツを区分する特徴とも言えます。

 一方で、プレイヤーから見た場合、制作側がどこまでARGの結末や展開の分岐を想定しているかはわかりません(ARGの終了後に明らかになることもありません)。ですから制作者は、選択肢があることをプレイヤーに上手く伝える必要があります。

2. 長期型ARGではプレイヤーを取り巻く様々な接点から断片的な情報が投げかけられる

 長期型ARGのストーリー構造について、前項で「複数の選択肢を与えられるパラレル構造が重要である」と提示しました。そのパラレル構造を支える方法として、長期型ARGでは意図的に断片化した複数の情報をプレイヤーに投げかけます。これによってプレイヤーには「情報に取り囲まれる不安感」と「断片化された不完全な情報を選んで考える機会」が与えられます。

 また、その情報を投げかける手段として、長期型ARGではプレイヤーの身近にある様々な接点(例:メール、SNS、電話、ポスター、現実の場所など)を利用します。特にインターネット上の接点は、ARGの副次的な要素である時差も異なる多数のプレイヤーに情報を伝達するための手段として、近年のARGでは外せない接点となっています。

 ともあれプレイヤーは、自分の世界(現実)の接点から虚構世界(非現実)の情報が大量に投げかけられる状況と、その情報について自分で考える機会を通じて、自分の現実世界上に虚構世界のレイヤーを重ねて代替現実感を増感させるのです。

3. 長期型ARGでは共有ルールの元でプレイヤーに自分で考える機会が与えられている

 すごろくがサイコロを振って出た目の数だけ前へ進むゲームと説明できるように、ゲームにはルールが必要です。一般のゲームと同じようにARGにもルールが存在しますが、現実世界の上に虚構世界を重ねる以上、ARGのルールは現実的なものとなります。つまりARGのルールとはプレイヤーが存在する現実世界のルール(例:法律、慣習、常識)なのです。

 このARGのルールは、その性質上、特殊な場合を除いて明文化されることはまずありません。このことが長期型ARGに対して現実味を持たせる正の側面と、暗黙知である互いの常識を共有するための努力が長期型ARGに関わる全員に求められると言う負の側面を生じさせています。

 そのようにルールを共有した上で、長期型ARGはプレイヤーに自分で考える機会を与えます。その中核となるのが、断片化された情報の復元と情報同士の結合による新たな発見ですが、そこには常に想像の余地を残しておく(意図的に情報を欠落させておく)ことが望ましいと考えます。なぜなら、プレイヤーが自分で考えた答(意志決定)は、与えられたものではない自分自身の答となり、当人の長期型ARGへの関与を高めることにつながるからです。


最後に

 こういった定義に関する議論は(ARGというジャンルに限らず)、様々なケースを例に挙げて、その全てを包括するか、重箱の隅をつつくかの議論になりがちです。ですが、コンテンツにおける定義というのものは、どれだけ詳細に区分したとしても次の瞬間にその境界線上に乗る作品が現れる可能性を秘めています。

 今回、ブログ『だいたい現実』を始めるにあたり、このブログにおけるARG(長期型ARG)を定義しましたが、それとて今後、更新されないとは限りません。以下に、これまでに提示された代表的なARGの定義について共有しておきます。これらの定義もお読みいただいた上で、お気づきになった点などありましたら、ご意見いただければ幸いです。


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